AFPの記事を読んで ー 隠ぺいなのか怠慢なのか

AFPの記事を読んで ー 隠ぺいなのか怠慢なのか

20110315産経新聞号外

20110315産経新聞号外

15日早朝に発生した福島第一原発の爆発/火災に関連して、日本政府は16日、福島第1原子力発電所から半径20キロの避難指示範囲圏外では、放射線による差し迫った健康への害はないと発表した。

一方、同日、在東京の米国大使館は、同原発から半径50マイル(約80キロ)圏内に住む自国民に対し、圏外に避難するか、屋内退避するよう勧告した。

いつものことだが、日本政府の発表より、外国政府の対応の方がより慎重だ。今回の爆発と放射能漏れについて、海外メディアはどのようにみているかをちらっと見てみた。
結果的に、興味がまったく他に向かってしまったのだが。

AFP通信BBニュースでは、5月20日付で以下のような記事が出ていた。短期的な影響としては、「「東京で健康に悪影響はない」と仏専門家が述べたとのこと。
但し、長期的な影響としては「放出される放射性物質の種類や量が未知数のため、さまざまなシナリオが考えうる。」としている。

フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)のジャック・ルプサール(Jacques Repussard)所長は仏議会委員会への報告で、同原発から「半径数キロ」のある地区で放射性プルームが存在していると指摘した。同所長によると、この放射性プルームは数日以内に原発から数百キロの地域にまで及ぶが、原発から250キロほど離れている東京で健康に悪影響が出ることはないと同氏は言う。同記事へのリンク

放射性プルームっていったいなんなんだには、文部科学省原子力安全課原子力環境防災ネットワークの環境防災Nネット原子力防災基礎用語集で説明がある。

放射性プルーム(放射性雲)

気体状(ガス状あるいは粒子状)の放射性物質が大気とともに煙突からの煙のように流れる状態を放射性プルームという。
放射性プルームには放射性希ガス、放射性ヨウ素、ウラン、プルトニウムなどが含まれ、外部被ばく、内部被ばくの原因となる。
放射性希ガスは、地面に沈着せず、呼吸により体内に取込まれても体内に留まることはないが、放射性プルームが上空を通過中に、この中の放射性物質から出される放射線を受ける(外部被ばく)。
放射性ヨウ素などは、放射性プルームが通過する間に地表面などに沈着するため、通過後も沈着した放射性ヨウ素などからの外部被ばくがある。
また、放射性プルームの通過中の放射性ヨウ素などを直接吸入すること及び放射性ヨウ素などの沈着により汚染した飲料水や食物を摂取することによっても放射性ヨウ素などを体内に取込むことになり、体内に取込んだ放射性物質から放射線を受ける(内部被ばく)。

先のAFPの記事の続き。

IRSNの環境的介入部門の責任者ディディエ・シャンピオン(Didier Champion)氏によると、福島原発の影響は「おそらくチェルノブイリ(Chernobyl)事故よりもさらに局所的影響にとどまるだろう」と話す。「そのマイナス面は、半径10~20キロ圏内の汚染濃度はより高くなるとみられることだ。プラス面は、それより遠い地域の汚染は少なくなるとみられることだ」

環境防災Nネットトップページ

環境防災Nネットトップページ

さて、先ほどの環境防災Nネットのトップページには、『原子力施設周辺環境モニタリング』という図表が出ている。
なんか奇妙だと思うのは、トップに朱色で記されている次の文言。

現在、宮城県と福島県のモニタリングデータについては、平成23年東北地方太平洋沖地震の影響により、情報の更新が停止しています。
宮城県モニタリングデータについては、こちらを参照ください。
福島県モニタリングデータについては、こちらを参照ください。

宮城県も福島県も県独自でモニタリングデータを開示しているのに「情報の更新が停止しています」というのはどういうことだ。
地方自治体の発表だから、国は関係ないというスタンスなのだろうか? あの地震から1か月半経っていまだにこの状態なのは、私には文部科学省の理解しがたい怠慢のように感じられる。

日本地図のすぐそばの『画面の説明』をクリックして出てくるのが、次の画面。

画面の説明

画面の説明

一番下の注記※1に注目。
「通常は180Gy/hに設定しています。通常は30~100Gy/hで….」とあるが、二つある通常ってどういうことなんだろう。意味不明だ。
国民の教育について責任を負う役所の発表物がこの状態というのはお粗末だ。
この辻褄の合わないところに、なにかあるのだろうか?

また、ここで出てくる単位、Gy/hというのがまた良く解らない。

これについては、日本原燃のホームページでのモニタリングの解説が詳しい。
nGy/hとは、ナノグレイ毎時と読み、放射線の量を表す単位、とのこと。

モニタリングポスト表示値の単位「ナノグレイ[nGy/h]」は一時間あたりの放射線量を示し、通常六ヶ所村の周辺市町村では、約8~85ナノグレイ毎時を示すそうだ。
「グレイ」とは放射線が物質にあたった時、その物質が吸収する放射線量を示す単位で、「ナノ」とは10億分の1を表わすとのこと。

グレイ/シーベルト換算

グレイ/シーベルト換算

ところが、中部電力のホームページでのnGy/hの説明はまったくの情報不足で何も説明していない。これも、私には「意図的に不親切な説明がなされている」としか考えられない。
浜岡原子力発電所

中部電力によるnGy/hの説明

中部電力によるnGy/hの説明

孫さんがツイッターで、原発周辺県の児童給食にこだわっているのも当然だと思う。
風評被害の原因といって孫さんの発言を批判する人も多いようだが、私にはごく普通の思慮だと感じられる。
孫さんは今回の震災の復興に際して、結果として地元だけでなく日本国全体にも大きな貢献をしつつある人物だ。
その人自身が、自分自身の調査に基づく自分の考えをストレートに発している。
風評被害に当たるとして、提示した数値に対する反駁もなしに批判する行動は、私には日本の将来に対して危険に思えてしかたがない。

日記

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